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前回のブログ「在韓日系企業の経営現地化(2)」では、
韓国では法対応のリスクが高く、経営者が巻き込まれるケースがあることについて書きました。
今回は、私のおもしろい体験を語ります。
4年前までの話ですが、私が勤めている会社の事務所は在韓日系企業には珍しく自社ビルにありました。
初代現法社長である現地人社長のかねてからの夢だったのでしょう。
2010年にソウル江南区の一等地に土地を購入し、12階建ての本棟と5階建てのアネックスを新規建築しました。
本棟には、上層階から、代表理事専用フロアー、財務・人事総務フロアー、そして各事業の営業フロアーと、各階ごとに部署が分かれて配置されている構造でした。
本業とは関係ないのですが、地下には200人近く入れるコンサートホールがありました。
世界の最高級ピアノで有名な「スタインウェイ&サンズ」のグランドピアノが備えつけられ、最新のAVシステムも完備していました。
当然のことながら、社内イベントだけでなく、プロの音楽家によるコンサートやオペラなどの舞台も頻繁に開催され、それを運営する専門チームもありました。
社長のお母さまのお誕生日会がここで盛大に開催されたこともありました。
今回はコンサートホールではなく、本棟最上階の代表理事専用フロアーの話です。
本棟のエレベーターで12階に上ると、そこにはビル一階の受付よりも大きい社長専用受付デスクがあります。
笑顔で二人の専任秘書が出迎えてくれます。
そこを通りすぎると社長専用応接室があり、来客はここに通されます。
壁には海外から購入したと思われる大きな絵画が掛けれらており、椅子と机はゴシック調に統一されています。
秘書から飲み物がサーブされ、社長が入ってくるまで少し待たされることになります。
待っている数分でヨーロッパの高級ホテルのラウンジに居るかのような魔法にかけられた気分になりました。
応接室の反対側にはお客様に食事をもてなすことができる来客専用展望ダイニングがあります。
2009年に世界遺産に登録された朝鮮王陵である宣陵(ソンヌン)公園を見下ろす素晴らしい景色のダイニングルームです。
この部屋ではお客様との話しが盛り上がり、商談も良い方向へ進むこと間違いなしです。
フロアー奥右手には役員会議室があり、社長参加の会議、報告会はここで行われます。
最大20人が収容できる会議室で、それなりに良い家具が使われていますが、社長専用にさらなるゴージャスな椅子があり、専用のモニター・マイクが設置されています。
社内会議では社長の一言一言聞き漏らすまいとメモを取る役員の姿が思い浮かびます。
もう一方の奥左手は社長室です。
一般社員の席だと20人分くらいのスペースはありましたかね。
特徴的なのは、応接室と役員会議室はこの社長室と直接ドアで繋がっており、社長は一般用の入り口とは別なドアからこれらに出入りできる構造でした。
社内会議では社長以外の参加者全員が常に会議開始15分前までに集合します。
開始時間を少し過ぎた辺りで社長が専用ドアからバッと現れる。緊張の一瞬ですね。
ここまでであれば、少々贅沢な作りだなと考える程度で、まあ自社ビルなので許容される範囲と思われるでしょう。(そうは思わないかな。。)
私もその自社ビルに勤務している当時は、韓国では代表理事は責任も重いし、それなりの特権もあり、仕事がしやすい環境を与えられても仕方ないと考えていました。
しかしです、彼が退職した後に新たな事実が発覚したのです。
社長室からだけ出入りできる隠し部屋が存在したのです。
なんと隠し部屋には、彼の趣味であるドラムを練習できる音楽スタジオ、仮眠ができる寝室、そして専用のシャワー室とトイレが有ったのです。
これには私もびっくり。
彼はここで24時間働くつもりだったのか、それとも住みつくつもりだったのか?
彼と限られた社員しか知らない隠し部屋の存在。
これこそ会社資産の私物化でした。
数年前にその自社ビルは現地ベンチャー企業へ売却し、かなり改装されたと聞いています。
そういえば、高級グランドピアノはどうなったんでしょう。
実はそのピアノ、ビル建築に合せてコンサートホールに設置したので、運び出せる間口のドアや窓がないという噂を聞きました。
(つづく)

