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在韓日系企業の現地化(5)では、現地人代表による採用及び昇進権限の私物化について書きました。
今回は、現地人経営者が犯した背任罪について、ある事例を書きたいと思います。
ある在韓日系企業は、日本本社の独立資本で2000年に設立されました。
設立当初より現地人を代表理事(社長)にして、すべて経営を任せておりました。
2012年彼が、背任の罪に問われるまではです。
12年間の社長在任期間中に、数ある背任行為が発覚し、会社として刑事告訴しました。
最終的に、刑事裁判で罪が確定し、執行猶予付きではあるものの禁固2年6カ月の有罪判決となりました。
会社として多くの損害を受けたので、並行して民事裁判も起こし、そこでも会社側が勝訴し損害賠償が認められました。
これが大まかな事の成り行きです。
そもそも背任罪という言葉はよく聞くのですが、どのような意味なのか、改めて調べてみました。
Wikipedia(日本語版)では、「背任罪(はいにんざい)とは、刑法に規定された犯罪類型の一つ。他人のためにその事務を処理する者が、自己若しくは第三者の利益を図り又は本人に損害を加える目的で、その任務に背く行為をし、本人に財産上の損害を加えたときに成立」とあります。
Wikipedia(韓国語版、Google翻訳)で調べると、「背任罪は、他人のためにその事務を処理する者が、その事務の任務を捨て、不法行為をして財産上の利益を取得したり、第三者これを取得させて他人に損害を加える犯罪である。」とあります。
日韓ともに刑法に定められた罪になります。
要するに、役員や従業員が会社の権限を使って会社に損害を加える行為です。
以前、このブログでも新社屋のレイアウトについて私物化の事例を上げました。
これ自体は会社に損害を加える行為ではないので、罪には問われません。
では何が行われたかと云うと、
その新社屋の建設工事費用でキックバックが行われていたのです。
新社屋の建設業者と結託して、工事費を上乗せ請求させ、上乗せ分を個人口座にキックバックとして支払わせていたのです。
建設業者とはもちろん、社内の従業員に協力者がいたことも分かっています。
このケースでは、代表は不正により利益を取得していますし、会社は本来請求される額よりも高い金額を払ったことで損害を被っています。
上のWikipediaで参照した「不正行為をして財産上の利益を取得して、さらに会社に損害を加えている」の背任罪に完璧に当てはまります。
韓国に限らず、不正なキックバックは最も発生頻度が高い社内不正であると云います。
ガバナンス機能が脆弱で第三者による監視ができていない場合はもちろん、容易に実施でることが想像できます。
さらに、単独犯でなく、社内外に協力者・共犯者がいる場合は、計画的で偽装も巧妙にしやすいため、より被害に気付きにくく、見つかり難いといいます。
会社の代表にやられてしまったら目も当てられませんが、営業・購買など、顧客やサプライヤーと接する部門では発生しやすいので、注意が必要です。
弁護士関係者から聞いた話しでは、発注の承認権限と納品に対する検収権限を持つ代表と担当が結託した場合は、ほぼ見つけることが不可能と云っていました。
社内のガバナンス・内部統制を強化するのはもちろんですが、この様な意図する背任を実際にどう防ぐか?
経営の大きな課題です。
(つづく)

